Vol.1 VASICのヒストリー、そしてアイコンバッグBONDのこと。
VASICというブランドの背景やデザインへのこだわり、新しい試み。
様々なストーリーをここで綴っていきます。
For someone else
ニューヨークで2015年に誕生したアクセサリーブランドVASIC。
クリエイティブディレクターを務めるのは、ニューヨークとパリ、東京を拠点にキャンドルブランド「LAND by LAND 」でリュクスなライフスタイルをプロデュースしてきたKanoko Mizuo。彼女は世界的フランス人ヘアアーティストのジュリアン・ディスに師事し、数々のファッションショーや撮影で活躍してきたヘアスタイリストでもあり、ファッションデザイナーや映像作家ら感度の高いニューヨーカーが彼女のプライベートサロンに足繁く通っています。
そんなKanokoが、なぜアクセサリーブランドを立ち上げたのか。
それは、彼女がひとりのバッグ偏愛主義者だったから。
ハイブランドもコンテンポラリーブランドも問わず、アクセサリーとしてのバッグは常に彼女の心を踊らせるものだから。
「私がほしいものを作るのではなくて、“For someone”、誰かのために作りたい。それが自分のものづくりの真髄。高級ブランドではなくても、それどこの? という会話が生まれるような存在を目指しました」。
クラシックでスリークなデザインが使い手やシーンを選ばず、女性の人生を礼賛するように日々の暮らしに寄り添ってほしい。
そしてシーズンの鍵となる素材や色で、ファッションの楽しさを伝えたい。
それがVASICに込められた思いです。
BOND:結ぶ、繋げる
そんなVASICのアイデンティティを体現するのが、アイコンバッグ「BOND」です。
LAの街を歩いていた女性がレザー紐をベルトにしていたことから、ノット(結び目)に着想を得たのがこのバッグ。
「インスピレーションを抱いたのはLAだったのですが、キュッと結ぶというイメージが気を引き締めるようでNYらしさを意識させてくれたのです」。
Kanokoがお気に入りだというストリート「Bond Street」にも通じるネーミングですが、このBONDにはNYと日本が、そしてブランドと使い手の女性が、VASICにまつわるすべての人々を繋ぐ存在であれ、というメッセージが秘められています。
ノットから描き起こしたデザインは、ビジネス用トートバッグではなく、もっと自由に使い勝手がよく、いつでも持ち歩けるものを目指しました。凛とした佇まいを残しつつ、金具をできる限り隠すことでカジュアルなイメージに落とし込み、シュリンクレザーで見た目や肌触りだけでなく耐久性も追求。毎日使うものだから、傷つきにくいものを選びました。
全体のデザインは今後もバリエーションを加えつつ、アイコンに見立てたハトメと紐は変わらぬ“顔”としてVASICを象徴します。
VASICと聞いて、誰しもの心に浮かぶのがこの顔でありたい――
「歳をとるにつれ小物に色が欲しくなってきたのですが、世の中はベーシックな黒が売れると言われていて。でも、このバッグはそれをいい意味で裏切ってくれました。オリーブ(緑)やマンダリン(オレンジ)、カリブ(ブルー)などのカラーが支持されているのを見ると、幸せな気持ちになります。香りと一緒で、カラーのパレットで毎シーズンのデザインをエディットしているので、いつかトレンドとは無縁のVASICオリジナルのカラーパレットを作りたいですね」。