Vol.53 Streets of VASIC

ニューヨークは青森と同じ緯度だから夏も過ごしやすいのでは? と思われがちですが、湿度がしっかりあって、眉をひそめるような暑い日が続いています。とはいえ、日本の酷暑に比べたら、文句は言えませんが…。夏になり、日本からの観光客の姿も街中で見かけるようになってきました。異国の地で新しい発見を探して歩いたり、お気に入りの場所を再訪したり、久々に旅の感覚を肌で感じられているでしょうか。今回は、日本からの皆さまにオススメしたい最新ブティックホテルをご紹介します。

9 Orchard

LESエリアの中でも、オーチャードストリートから東側のキャナルストリート界隈は、感度の高い若者が集まるスポット。スケーターが駆け抜けるストリートに、小さなレストランやカフェが点在していて、人気のヘルシーカフェ「Dimes」から由来してこの一帯は”Dimes Square”なんて呼ばれています。

そんな一角にあって異彩を放つクラシックな建物が、この「9 Orchard」。市のランドマークに指定されている元銀行だった建物は、10年以上の歳月をかけて今年、ブティックホテルとして生まれ変わりました。外観からもわかる通り、1912年に建てられたボザール建築の様式をいかしたリノベーションを遂げており、圧倒的なインテリアの美しさ。思わず写真を撮る手が止まりません(笑)。

Guest Rooms

114室ある客室は意外にも派手さを抑えた素朴な印象です。シェーカースタイルのような朴訥とした木製家具と暖色系のインテリアでまとめられていて、ゆったり滞在するのにぴったり。デザイナーズホテルというと、オシャレすぎて落ち着かないということもありますが、こちらは大人が心地よく過ごせる意匠のよう。

Dining / Cocktail Lounge

しかし、ゲストルーム以上にこのホテルの魅力をアピールするのが、ダイニングとバーなのです。オバマ元大統領も訪れた人気レストラン「Estela」のオーナーシェフ、イグナシオ・マトス氏が手がけているとあって、地元のニューヨーカーからの期待が高まるのも当然。メインダイニング「Corner Bar」では、ヨーロピアンの薫陶を感じさせるクラシックな料理をいただけます。そして、アーチを描いた石造りの天井に彫刻が施された荘厳な空間を占めるカクテルラウンジ「Lobby Lounge」。見上げるほど高い天井に対して、スペースはそこまで広くなく、しっとり親密なカクテルタイムが過ごせます。レストランでディナーをいただいて、ラウンジでカクテルとデザートを、という使い方がオススメ。また、ルーフトップもチェックしたいところ。

ニューヨークではコロナ禍でも「Ace Hotel」がブルックリンにできるなど、ホテルのオープニングが目白押しです。この夏は、「The Ritz-Calton」がNomda地区にできるほか、ついにはあの「アマン」も開業を控えていて、見逃せません。次のニューヨーク旅行のデスティネーションのひとつとして取り入れてみては。次回は、そんな旅のお伴になるようなVASIC秋の新作をお届けしていきます!