Vol.75 Streets of VASIC
街路樹が一斉に芽吹き、日に日に木々の緑が濃さを増しています。4月までは裸の木々が静かに枝を広げていた公園も、今ではふさふさとした葉が空間を埋め尽くし、公園全体がまるで巨大なサラダボウルのように見えるほど。ピクニックをしているグループ、ベンチで居眠りをしている人、ドッグランで駆け回る犬たち、目に入るものすべてが和やかです。こんな季節は、どこかへ出かけるでもなく、ただ近所を歩くだけ、そんな時間も愛おしいものですよね。
さて今回は、デザインと暮らしのインスピレーションとして新しいホテルとショップをご紹介します。
Warren Street Hotel
ソーホーのCrosby HotelやミッドタウンのWhitby Hotelなど、アートフルでデコラティブなホテルを生み出してきた英国のインテリアデザイナーKit Kempによる新しいホテル。古い建物をリノベーションして開業するホテルが多いなか、このWarren Street Hotelは建物から新築。アクアブルーに染められたガラス張りの外観は古い建物が並ぶストリートにあって異彩を放ちます。
そして、このホテルの醍醐味といえるのが館内のインテリアデザイン。カラフルな壁にタペストリーやペインティングなどのウォールアートが散りばめられ、まさに色の洪水に包まれるよう。絵画や彫刻の一つ一つも、Wendell Castleらアーティストにコミッションを依頼した特別な品だとか。パンチのあるロビーエリアですが、全69室あるゲストルームもそれぞれ異なるデザインというから驚きです。壁の色からベッドのヘッドボード、ベッドリネン、照明、それぞれに主張のあるデザインを絶妙に掛け合わせながら、Kit Kempらしい世界が構築されています。グレーや白を基調とした都会的でスリークなホテルが主流の今、こんなユニークなお部屋での滞在は思い出に残りそうです。
もちろん宿泊せずとも、パブリックエリアを利用してその雰囲気を楽しむのもアリ。レストランでブランチやディナーをいただくのはもちろん、英国系のホテルとあって、アフターヌーンティー($75)をするのもよし。また、木曜の夜はジャズのライブも開催されているので、ナイトアウトに利用しても。
Terrain in Brooklyn Botanic Garden
インテリアやガーデニング好きのニューヨーカーの間にファンが多いショップ「Terrain」。テーブルウェアやオブジェクト、園芸用品と多彩なスタイルのプロダクトを揃え、商品のデザインはもちろんそのまま買い占めたくなるようなディスプレイセンスが秀逸。今までニューヨークに店舗がなく、ペンシルベニアやコネチカットまで車で遠征しなくてはならなかったのですが、この春にブルックリンの植物園にショップが進出したのです!
園内のビジターセンターに位置し、植物からインテリア雑貨やギフトを販売。季節で移り変わる植物園の風景と呼応するセレクトを目指しているそう。郊外のお店とは異なり、ブルックリンの建物事情をもとに、アパート暮らしのニューヨーカーでも実現できる植物のある暮らしを提案。ルームスプレーや花瓶など、観光で訪れたゲストにとっても買いやすい小物も充実していますよ。季節の花を愛でつつ、お買い物も楽しんで。