Vol.37 Sidewalks of New York

働き方や暮らし方に変化が訪れ、この世界的なクライシスをきっかけに自分が大切にしたいことが見えてきたという人も多いのではないでしょうか。人と助け合い、地球に優しく、公平な社会を目指して貢献する、そんなサスティナブルな生活が今まで以上に身近になりました。日本ではレジ袋有料化によって、プラスチックごみ削減とライフスタイルの見直しがようやく始まりましたが、アメリカではあらゆる産業で各社がサスティナブルへの取り組みを打ち出しており、エココンシャスであることは当たり前に。若い消費者の間でも社会・環境に配慮した商品を選ぶエシカルショッピングが根づいています。そこで今回は、身近なところからチャレンジできる、サスティナブルブランドをピックアップしてみました。

Araksのアンダーウェア

誰かに見せるわけではないけれど、体という自分の最も“素”な部分をガーメントで飾るアンダーウェアは、自分だけが知る喜び。緻密な刺繍が施された華美なランジェリーもいいですが、ここ数年ニューヨークでは、コンフォートを重視したアンダーウェアが主流に。オーガニック素材で環境・社会に配慮したエシカルなものを、という消費者のシフトが自然に重なります。Araksは無駄を削ぎ落としたシンプルなデザインとマゼンタピンクにターコイズブルー、ネオンイエローなどのカラーで若い女性に人気を誇るブランド。男性目線のセクシーさよりも、女性が自信をもって過ごせるような芯の強さが感じられます。

Araksでは廃棄削減に力を入れており、基本となるファブリックを中心にコレクションを組み立て、余ったファブリックも後々のシーズンに回すほか、学校やチャリティ団体に寄付。すでにコットン素材のコレクションはオーガニックコットン70%にリサイクルコットン30%で製作し、サスティナブルなウッドパルプを使用するほか、水や溶剤に至るまでもリユースされています。スイムウェアもリサイクルナイロン素材を積極的に採用。また、顧客に異なるカラーやコレクションのアイテムのミックス&マッチを推奨しており、ガーメントに負荷を少なく長生きさせるようにしているのもユニークです。

Comme Siのソックス

地球への負荷を減らすためには、身の回りのどんな小さなことでも。靴下ひとつにも、そんな意識を傾けることはできます。Comme Siは、ファッショナブルな女性に支持されているブルックリンのラグジュアリーソックスブランド。スタイルと機能性に即したデザインは、上質な素材と優れたクラフツマンシップをもとに、サスティナブルな製造を徹底して作られています。イタリアの工場はOEKO-TEXとREACHの規格にそくし、正しい賃金と労働環境が守られているといいます。環境に配した素材の調達のみならず、労働者についても考慮されているのは素晴らしいこと。

こちらのソックスは、オーガニックコットンでふっくら厚めの履き心地のタイプから、100%カシミヤオンカラーもあり、まるでニットやドレスを選ぶようにカラーや素材を選ぶことができます。とかく影の存在になりがちだったソックスですが、こちらのソックスはワンポイントにタグがついていて1足で装いがぐっとモードになる優れもの。ローファーやミュールと合わせて、おしゃれ上級者の装いを披露したくなるのです。

Naked Cashmereのラウンジウェア

家で過ごす時間が増えたからこそ、必要になってくるのがラウンジウェアの充実ではないでしょうか。着古したTシャツとスウェットパンツという家着の王道は捨てがたいチョイスですが、気分は上がりません。エコフレンドリーで贅沢な触り心地のウェアに身を包めば、たとえTVを観ながらうたた寝…という事態でも優雅な気分は崩れません(笑)。

Naked Cashmereは長年ファッション業界で活躍してきた夫婦が立ち上げたラグジュアリーニットウェアブランド。社会的責任と人間らしさ、多様性をブランドのコアに据え、環境問題に配慮したカシミヤプロダクトを提供しています。製造元とはフェアトレードな契約を結び、ヤギはオーガニックの牧場で育ち、飼育スタッフにも動物愛護の教育プログラムを徹底。製造における情報の透明性にも力を入れており、カシミヤ繊維から個々のヤギと牧夫の情報をさかのぼることができるというのは驚きです!

目にもソフトな質感が伝わるカシミヤをショーツやフーディにカジュアルダウンさせたラウンジウェアは、まさにLAラグジュアリーといった雰囲気。大人のベーシックカラーが辛口で、生活感が出ないのがポイントです。ピュアカシミヤのほか、コットンカシミヤ、リサイクルカシミヤもあり、リネンやウールアイテムも見つかります。


VASICでもエコトートの導入など、エシカルな取り組みを少しづつですが始めています。美しくて機能的なバッグで女性の活動を応援するバッグブランドであると同時に、社会にも目を向けた企業でありたい。大それた理想を掲げるのではなく、“ちょっといいコト”からできないか、模索中です。社会的意識をもちながら自分なりのファッションも楽しむ、そんな女性たちとともに未来へ進んでいけたら。