Vol.43 Stories of VASIC

信じられないことに、2021年も終盤へとさしかかってきました。ついこの前、心も新たに1年のスタートを、なんて思っていたはずなのに…。ニューヨークでは上着やニットの出番がだんだんと増えてきて。郊外では紅葉のピークを迎えており、赤や黄色に染まった木々と秋晴れの青空のコントラストがますます強くなっています。そんな自然界の変化に呼応するかのように、ぐっと秋冬らしいバージョンに進化した人気シリーズを今回はご紹介します。

Gem - Wool

SS21コレクションでデビューを果たしたGem(ジェム)は、その立体的なデザインからVASICのコレクションの中でも特に異彩を放つ存在です。スタイリングに女性らしさを添える丸みを帯びたシルエット。ドローストリングタイプの開閉がスムーズで使いやすいのと、見た目よりも収納力があるので意外にも(?)実用性が高いのです。そんなバッグがこの秋冬は“衣替え”して、意外な顔を見せてくれています。

「このGemのスタイルは、素材を替えてまた秋冬でも使用したいなと思っていたのです。VASICでは季節柄、ウール素材のものを提案したいと思っていますが、全てのスタイルに当てはまるものではなくて。こちらのGemは何度も修正を重ねながら、やっと完成にこぎつけました」とVASICクリエイティブディレクターのKanokoは語っています。

「大胆なチェック柄って、かわいいですよね。それがコートだと難しそうで躊躇してしまうのですが、小物だったら取り入れやすいと思って。あえて派手なカラーコンビネーションではなく、秋冬のスタイリングに馴染むカラーのものを選びました」。Black×Gray、Herb×Brown、どちらもベーシックカラーな組み合わせが大胆なパターンをシックに見せます。

Port - Wool

立体的なフォルムのバッグといえば、Port(ポート)もそのひとつ。一見シンプルなようでいて、変形シルエットが生み出すボリュームでバッグ自体の存在感がきちんとあるバッグです。マグネット式の開閉で物を出し入れしやすく、マチがあるのも安心。

そんなPortが、今シーズンはレザーとウールのコンビネーションで登場。素材自体が軽くなったので、堅苦しくなくカジュアルにお持ちいただけます。Miniサイズ、Mini Miniサイズともに、色はBlack×Gray、Cumin×Brownの2種類。素材の違いがこのバッグの複雑なデザインをさらに引き立てるようです。

「ポートはとてもユニークなスタイルです。オールレザーだと少し堅く見えてしまう部分もあるので、あえてウールとのコンビにしました。同じバッグの色違いもいいけれど、私は素材を変えて雰囲気の違いを楽しんでいくのも好きです。“the 定番”と呼ばれるようなカラーコンビになっていますが、自分の中の王道みたいなもの。そこに皆さんが共感していただけたら嬉しいです」

ご存知の方も多いかもしれませんが、ニューヨーカーは褒め上手。靴や洋服はもちろん、髪型やネイルまで、いいなと思ったら見知らぬ人にだって「それ素敵ね」とか「どこで買ったの?」と話しかけるのです。GemPortのような個性派バッグなんて、まさにニューヨーカーの大好物(笑)。日本ではそんな出来事は少ないかもしれませんが、VASICは街ゆく人と会話が生まれるようなバッグをこれからも提供できたらと思っています。