Masayo Kishi, Stylist and Founder of PERMANENT PAPER
ALAIAのジャケットにHermesのスカーフとブーツ、エルサ・ペレッティによるTiffany & Co.のハートバックルと、個性が光るアイテムを散りばめた装い。ファッションへの讃歌に溢れた凛々しい彼女の姿を見るにつけ、その洒脱さに魅せられるのです――
ニューヨークを拠点に、スタイリストとして長いキャリアを誇るMasayo Kishiさん。アートとハイファッションに深い造詣をもつ彼女は、2020年にはフォトマガジン「PERMANENT PAPER」を創設。刹那的なデジタルメディアではなく、手に触れては感情に訴えるような大判写真にこだわり、自身が敬愛する一流の写真家やアーティストたちとコラボレートを続けています。
そんな彼女は、VASICの創設時からブランドビジュアルを手掛けてきた一人。バッグの見せ方からポージングまで、直感でユニークなスタイルを提案し、撮影セットではKanokoと活発な意見交換が行われています。互いのこだわりに化学反応を起こしながら、写真が定まっていく瞬間はとてもエキサイティングです。

初めて行ったVASICの撮影は?
初めての撮影は、Kanokoさんのニューヨークのアパートメントで。VASIC ニューヨークチームによる素敵なケータリングもあり、緊張の糸もほぐれ、撮影クルー、二人のモデルさん共々、皆で和気藹々と楽しく進むことができましたね。
Masayoさんが考えるVASIC WOMANは、どんな女性でしょうか?
自立し、洗練された女性。
VASIC撮影のスタイリングのプロセスについてお聞かせください。
毎シーズン、Kanokoさんからアイディアをいただき、アイテム毎に、ルックの色、シェイプ、スタイルを詰めていきます。サイズの選択もありますので、モデルのキャステイングを同時進行で行います。そうして準備をしていても、実際にはセットでスタイリングを変更する事が多いです。また、オーバーサイズのジャケットやブルマーなど、日本には奇抜に思えるアイテムをあえて使うこともありますね。
商品であるバッグを見せるのが大前提である一方、洋服のスタイリングにおいて大切にしていることは何でしょうか?
VASICのオーディエンスは、機能性があってどんなスタイルにも合う「定番で長く使えるもの」を求めていますよね。したがって、Hypeなトレンドに流されないということを意識しています。
また、カラー写真撮影の場合は、スタイリングに主役の二色を使用し、わずかな3色目を入れてバランスを見ます。その後、洋服のシワを作ったり、モデルさんにカバンや洋服と共に動いてもらってライティング、ヘア、メイク ポーズの全体を見て、引くもの足すものを考えたり。常に小さな発見の連続なので、最初にあまり決めすぎないよう心がけています。


実現可能・不可能を問わず、いつかVASICの撮影に提案したいファッションは?
ウッディアレン監督の映画「アニーホール」でのダイアン・キートンのマニッシュスタイル。ハット、ネクタイ、ベスト、カーキパンツが印象的です。
個人的にお気に入りのVASICのアイテムがあれば教えてください。
「Patti(パティ)」です。
パンみたいで美味しそう(笑)。カフェオレとか、美味しいものを連想させながら、丸みを帯びたシルエットに可愛らしさもあって。コンフォタブルなイメージです。
アニバーサリーへのコメント
10周年、おめでとうございます。ベイビーだったブランドVASICもBondと共に成長しながら青山に路面店もオープンし、あっという間に10年目に突入しましたね。これほどリレーションシップが続くとは思っていなかったのですが、定番スタイルを追求しながら常に前進しているKanokoさんのクリエィティブディレクションのもと、VASICチームと10年もの間、ヴィジュアル制作の一人として参加させていただき、とても光栄です。"VASIC持ち"など新しい言葉もあるようで、これからの展開がとても楽しみです。